最干潮時の潮位3cm。潮干狩りにもってこいの大潮の休日。
ひと月ぶりに沖縄市にある泡瀬干潟に行きました。
3月、4月、5月と、海水温は確実にあがっています。今日はついに長靴をやめて、久しぶりに磯足袋で干潟を歩きました。懐かしい足裏の感覚。
砂の干潟、礫(れき)の干潟、石灰岩の岩礁地帯、そして砂州を越え、「西堤防」付近へ。
海草の移植実験が行われた元「海草場」に到着。3月・4月は多くの部分がカゴメノリやアナアオサに覆われていました。今、海藻が枯れて底質があらわになり、その荒廃ぶりがいっそうはっきりとわかります。
茫漠としていて生きものの気配がほとんど消えてしまいました。海草が生えていた頃には、色とりどりの生きものたちがそれぞれにいろんな音を立てていて、にぎやかな海だったのに。
たとえて言うなら、かつてはたくさんの鳥たちがさえずり、山菜や木の実も豊富だった森が、開発のために整地されて、すべてがなくなってしまったのを見るような感じです。
まったくもって何だかなぁ…と、沈んだ心持ちで生物の気配が消えた浅い海を歩いていると、足元で何か動くのが見えました。イカやエビの赤ちゃんが、なぜか何匹も近寄ってくるのです。
「まぁそう気落ちすんなよ、わたしら生まれたときからもう環境だけど、がんばって生きるしかないわけよ」、と、声をかけられた気がしました。
それにしても、最干潮時間なのに潮の引きが悪い。潮位3cmといえばホソスジヒバリがびっしり生えているあたりまで干出するはずでしたが、水没したまま。
3年ほど前から「異常潮位」が目立ち初め、潮時表に書かれている潮位よりあきらかに潮位が高いということがたびたびありましたが、今回もやはり潮位が高いようです。少なく見積もって15cm。たぶんもっと潮位が高かった。
リュウキュウサルボオはホソスジヒバリの多い海草場付近でよく採れます。それをねらって来ているおじさんたちが、膝あたりまで水に浸かってせっせと突き棒を動かしています。
わたしはホソスジヒバリを採ろうと思っていたのですが、カメラを担いでいるため、足元が怪しくなる深みへ入ることができません。それでもすねのあたりまで水に浸かりながら足裏の感覚で貝を探してみました。
3~4cmのホソスジヒバリなら足の裏に触れるのですが、そんな小さいのを採るわけにはいきません。せめて7cmないと…。
仕方がないので再び砂州を越えてソメワケグリやシラオガイの多い海草場へ移動。モズクを採りつつ周りの様子を観察すると、こちらも驚くような変化が。
小型海草類の上にぶちまけたように、白骨化した古いサンゴや貝の破片が散らばっています。大型海草類の部分にも散らばっているのかも知れませんが、こちらはけっこう密生しているので根元の様子がよくわかりません。でも、弱って細かな藻にとりつかれた海草がけっこう見られました。
すぐ沖側を見れば、最近浚渫されたばかりの深い傷がわたしのいる海草場と沖のリーフを分断する形でぱっくりと口を開いて見えます。海草場は水に浸かっていると黒っぽく見えるのですが、突如として深くなっているその部分は、少し白濁したエメラルドグリーンをしていて、余計に悲しく見えます。古い貝の破片は、どうやらそのあたりから流されてきたようです。
浚渫の影響は、上げ潮の速度の早さにも現れていました。
浚渫航路ができる前、上げ潮は遙か干潟の沖の方からじわりじわりとやってきて干上がった海底を少しずつ海にかえしてゆきました。いまは、上げ潮が浚渫航路からダイレクトに干潟域に押し寄せてくるようになり、海は性急に干潟を自分の領域に取り込んで行きます。ぼんやりしていると、あっという間に水深が増していると言うわけです。
潮の周り方が変わって、何だか少し、怖いな、と感じました。
乱暴に掘削された深い溝の影響は、これからも確実に広がって行くことでしょう。
干潟が荒れてゆくと、潮干狩りに来る人々の心も確実に荒れてくるようです。乱獲。小さな貝まで根こそぎです。「どうせ埋められるんだからいいでしょう?」という考え。いとあさまし。
海草の根を断ち切るように熊手でひたすらひっかきまくった跡もすさまじくて、岸に近い海草場が荒廃している一因はこれだろう。
海草場では確かにたくさん貝が採れるけれども、地元の人は海草の根を切るようなやりかたは決してしない。なぜなら、一度根を切ってしまうと海草が枯れて、貝が採れなくなってしまうことを知っているからだ。
海辺で遊んだり自分で採った貝を食べることはぜひたくさんの人に体験してもらいたいことだ。でも、せっかく自然体験しても、貝の性質や地域の特性を理解しないで採れば、一方的な搾取で終わり、たちまち資源枯渇してしまうのだ。
潮干狩りガイドブックなども出ているようだが、地元の人々がどんな風にその海を守ってきたのかということも書き添えて欲しいものだ。
この日の救いは、目障りな重機類が作業現場から撤収されていて、耳障りな音も聴かずにすんだことでした。でも、連休明けにはまたすぐ重機が入るそうです。
2002年10月の着工以来、泡瀬では仮設橋梁や航路浚渫、埋立地の枠づくりといった、実質的な「埋立」のための準備が行われてきたのですが、今度こそ枠の中に土砂を入れて、本格的な「埋立」が始まるそうです。
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干潟の先に突如として現れた浚渫航路(エメラルドグリーンの部分)。その向こうに見えるのがリーフエッジ。
ウミジグサの上に、死んだサンゴや貝が散らばる。海底に堆積していたものが浚渫で表面に現れ流されてきたのだろう。
※泡瀬干潟写真集へはこちらから。
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