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そうして北の大地へやってきた。

飛行機の窓から初めて眺めた北海道は、黄葉が美しかった。

多くの木々はもうすでに葉を落としていたのだけれど、ポコポコと連なる小さな丘は、場所によって山全体が黄色に染まっていた。ごく低い位置から射す太陽光を浴びて、その黄色は柔らかに輝いていた。

その光景を見ただけで、着陸する前にすでに満足していたという、不思議な旅のはじまり。

窓に貼り付くようにして外を見ていたわたしですが、さすがに着陸の瞬間はまっすぐ座っていた方が体への負担が少ないので、それなりに高度を測っていたのでした。

が、まだ高度があると思っていたら、いきなり着陸の衝撃がきたのでびっくり。空港は丘の上にあったのでした。

Dsc_1151

空港外の気温表示は9.8℃。

寒いです。空港内でしっかり着込みました。

Dsc_1152路線バスで、空港最寄りの施設、「釧路市丹頂鶴自然公園」へ。絶滅の危機にあったタンチョウヅルの保護増殖のために開園されたよし。

ここでは半飼育状態の丹頂鶴を通年見ることができます。

Dsc_1164基本的にはつがいで飼育していて、お隣さん夫婦との縄張りの境界を明確にするために金網で囲ってはあるけれども、天井は開いているのでツルたちは出かけたいときに出かけている、という。

※つがいの二羽が飛び立とうとしているところ。一羽はふわりと舞い上がり、一羽は取り残されてしまった。

11060007園内はもともとの環境をうまく利用しているそうで、湿地そのもの。敷地の外から流れてきた川がツルたちの居住空間を潤している。

その川は釧路川に繋がっているので、敷地外からうっかりやってきた小魚たちはしっかりツルの餌になっているそうだ。ときには鮭も遡上して来るという。

ツルはさすがに鮭を食べたりしないようだが、昆虫や木の実など、結構なんでも食べるらしい。

Dsc_1166毎日午後一時すぎに給餌がある。ツルたちはその時間をちゃんと心得ていて、ほとんどのツルが飼育場で待ちかまえていると飼育担当の方が教えてくれた。

ここで与えられる餌はウグイとトウモロコシ。

Dsc_1171ことし七月に孵った幼鳥のいるケージ。一家揃って人なつこく、飼育員さんから直接魚を受け取っている。

全部のケージの餌やりを見せていただいたが、ツルにもそれぞれ個性があるのが見て取れた。飼育員さんがまだ隣のケージで餌を与えているうちから近づいて来て、受け取ったその場で魚を食べてしまうのはこの家族だけだった。

Dsc_1168他のケージでは直接受け取っても少し離れてから食べるとか、放り投げてもらったのを拾い、用心深げに葦などの物陰まで運んでから食べるとか、いろいろ。

おしなべて雌の方が用心深いようである。

実は、ここのツルは雌の風切羽を切ってあるとのこと。さっき飛び立ったのは雄で、取り残されたのは雌だったわけだ。

Dsc_1156タンチョウヅルはつがいの一方がけがをして動けなくなったりすると、その連れあいも寄り添って、渡りの時期になっても一方を置いて渡っていくことはないとのこと。

また、連れあいを亡くしたツルは、その亡骸が雪に埋もれたり、他の動物に食べられたりして姿形が見えなくなるまで、やはりそばを離れないのだそうだ。

Dsc_1158この公園ではつまり、そういうツルの習性を利用して、雌の風切羽を切り、「半自然状態」での飼育に成功した、というわけなのだろう。

10年以上前に豊岡で見た、狭いケージに一羽ずつ飼われていたコウノトリよりはマシなのかな。。。

しかし、タンチョウの縄張り意識はかなり強いらしい。金網の囲いは、通路に面しては40mほどだったかな、そうして奥行きは400mあるのだけれども、本来のツルのナワバリからするとかなり狭いらしく、しょっちゅうお隣さんと小競り合いが起こるとのこと。

金網にくちばしを引っかけてくちばしを怪我したり折ってしまう雄が多いそうだ。実際、幼鳥と三羽で暮らしている一家の大黒柱は、くちばしの先が一部欠けていた。

11060018ところで、「空室」であるはずの飼育場を勝手に占拠(?)しているのは、この公園で育った雄のタンチョウ。

立派に育って一時は公園を離れ自活していたのだが、足を怪我してしまい、自ら「空室」に舞い戻ってきたという。

その前にこのワカモノは両親と一悶着あったらしく、それだけでも一つの物語になりそうですが、くわしくは鶴公園のブログでどうぞ。

Dsc_1161さて話はかわって、この公園の金網には、ところどころカメラや望遠鏡でツルを観察するための穴が開けてあります。

が、どの穴にも写真のようにかわいい蓋がしてあるので、最初は穴があることに気付きませんでした。「キツネの侵入を防ぐため」とのこと。

11060020こちらの穴はツルの足形プレートで蓋してありました。

ツルの足、でかいです。

※左は男性用手袋をはめた我が手なり。

11060012園内を流れる川で見つけた(多分)レンズヒラマキの仲間。

ふと目を上げると、ちょうど近くにいたタンチョウが羽繕いをしていた。

111907ふわりと飛んでくる羽。その繊細で美しいこと! 羽の付け根の方がふわふわと風に揺らいで、うっとりしてしまう。

111904「鶴女房」の昔話は、ツルの情の深いことと、この美しい羽とを観察していた先人達から生まれてきたわけですね。ナットク。

しかしこの羽、かなりケモノっぽいニオイがします。鳥類なのに、ちょっと意外!?

      

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コメント

お久しぶりです。釧路へ行かれたのですね!
初秋というより、写真から見るともう晩秋のような雰囲気ですね。
以前釧路の方が「扇風機は一年に数度しか使わないよ」と言っていたのを思い出しました。

鶴公園のお話大変興味深く読みました。特に入居者募集のケージ(^^)。
私も動物大好きです。でも、希望としては動物はやっぱり自然のままがいいと思っています。
もしかして科学が発展すればCGやら3Dで動物を体感できる展示館のようなものが、
動物園の代わりに登場するといいなー、などと想像しています。

投稿: そらみ | 2010年11月25日 (木) 12時49分

わーい、そらみさん!

コメントをありがとうございました。

釧路は沖縄とあまりにも環境が違うので、何もかもが新鮮にうつりました。

大型の野生の生きものたちが人里近くにも多く、その気配の濃いことにも感動しましたが、なかでも一番ハッとしたことは、太陽高度が低くて、木にしても建物にしても、とにかく影が長いこと。それから日没の早いこと。

沖縄の日射しのなんと豊富なことか、戻ってからそのありがたみをつくづく感じています。

ところで3Dのような立体映像の技術について。わたしも博物館で使えるといいなと思ったことがあります~♪

投稿: ミズマ | 2010年11月29日 (月) 23時07分

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