切手のおもひで
ほとんどが美しい外国の切手で、友だちから送られてきた手紙から剥がしたような使用感のあるものはなく、切手愛好家のためにシリーズで揃えて売られていたようなきれいなものばかりだ。
色鮮やかな花々をデザインしたものが大半で、父も花が好きだったらしい、と、はじめて気づいた。そういえば一時期サツキの盆栽に凝っていたし、よく植物園にも行っていたな。
オトナになってから見たのははじめてでも、子どもの頃には時々見せてもらっていた。そうして、4冊ある切手帳の中身のほとんどに見覚えがあった。つまり、それ以降は切手集めをやめてしまったのだ。
図案は、花でなければキノコや鳥や、とにかく自然物に限られていた。そうして、それらがシリーズごとに几帳面に並べてあった。
が、4冊ある切手帳のうち一冊に、どうも見覚えのない、また全体とは著しく傾向の異なる切手が、未分類のまま裏表紙にはさんであった。
それが、写真の3枚。どなたかにいただいたものだろうか…(謎)
で、この切手。全体的に赤と黄に彩られためでたそうなのこの一枚がすごいんだ。
ちょっと見づらいのだけれど、上方の朱の幔幕には金色で「到大江大海去鍛錬(川や海で鍛えよう!)」と書いてある。
さらに真ん中の横断幕には、「毛主席とともに、大風大浪の中を進むのだ!!」と大書してある。
毛主席とは、もちろん毛沢東主席のことである。毛主席はたいへんに水泳が得意であられたと聞いたことがある。納得のスローガンなのだ。(←そうか?)
さすがは偉大なる中華人民共和国!
図案や色使いも絶妙である!!
とにかくいろいろスゴ過ぎる!!!
いやはや。勇ましいスローガンにつられて、つい鼻息が荒くなってしまった。
政府の意図丸出しの切手なんて、おもしろすぎる。あ、でもよその国の人から見れば、日本の切手にもそういう臭いが感じとれるのかも知れない。そういえば、お札やコインは、どの国のも「お国柄」がにじんでいるよね。にわかに表象文化に興味がわいてしまった。
ちなみにこの切手の表示価格「8分」について。現在のレートで換算すると、1元を15円としても、1元=100分なので、1.2円にしかなりません。くれぐれもコピーして使おうとか思わないように! ( …って、誰もそんなこと考えないか。)
※これらの切手は1976年発行。最近の中国の切手は、もっと高度な印刷技術とデザイン性を備えています。誤解なきよう。
※※ふと気になって調べたら、1976年は毛主席の亡くなった年であった。これってきっとまだ毛主席存命中の、文化大革命終末期に発行された切手なんだろうな…。
| 固定リンク
コメント