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時給7円で働く少女たち。『女工哀歌(エレジー)』

Photo‘ジャスミン’は数えで17才。中国内陸部の農村出身。家計を助けるため、故郷から一人でバスや列車を2日間も乗り継ぎ、出稼ぎに行く。村では中学を卒業するとほとんどの若者がそうやって出稼ぎにでるから、ジャスミンが特別なわけではない。

ジャスミンは街に着くと早速、輸出用ジーンズの縫製工場で職を得る。先に出稼ぎにでていた友達に教えてもらったていた工場だ。

しかし労働条件は厳しい。一日12時間労働はざらだ。納期が迫ると徹夜で作業もある。春節以外、休みはなし。賃金の支払いは遅れ気味。残業代もまともに出ない。時給は多分0.5元(7円)くらい。中国の労働基準に照らしても、明らかに違法だ。そのうえわずかな賃金から寮費や食費が差し引かれ、ときには罰金まで払わされる。

ここが特にひどいわけではなくて、他の工場も似たようなものだという。しかもジャスミンたちの工場の経営者は地元の元警察署長で、街の有力者とつながりが深いから、どこかへ訴え出てももみ消されてしまうと工員たちは考えている。

撮影は工員たちの作業や暮らしぶりだけにとどまらず、経営者たちの商談にも迫っている。驚いたことに、大手ブランドほど強気で、安く買いたたきにかかるらしい。ある商談の場面では工場の経営者が、ジーパンとジャケットのセットを4ドルで提供するよう迫られていた。消費者はそのセットを何千円かで買うのに、工員たちに行くのはせいぜい2ドル。それも、びっくりするくらいたくさんの工程に分かれて作業しているから、一人あたりにしたら、1円にもならないかもしれない… 

ジャスミンは来る日も来る日も縫いあがったジーンズの糸のほつれをひたすら切り整える。ジャスミンの先輩‘オーキッド’は、ファスナーだけをひたすら何日も縫いつけている。だけど、オーキッドはミシンが扱える分だけジャスミンより時給もいいし、労働時間などの待遇も少しはマシだ。

労働環境もけっして良くはない。縫製工場だから、常に細かな繊維が工場内に満ちている。でも誰一人としてマスクを着けていない。呼吸器系によいはずがない。それでも、この工場は撮影許可がでなかった他の工場よりずいぶんましな労働環境であるらしかった。

唯一ホッとできるのは、ジャスミンたちがわずかな自由時間を利用して、ちゃんと街に繰り出したり、友達の部屋に集まってファッションショーのまねごとをしたりして楽しむことを知っているから。

どうして店頭に並ぶほんの一割すら、つくっている人の手に渡らないんだろう。コーヒーしかり、ココアしかり。中間搾取が多すぎるし、労働条件は悪すぎる。

持続可能な労働環境を支えるフェアトレードの仕組みが、もっと広がればいいのに。

※写真は『女工哀歌』の公式サイトよりダウンロードしたチラシです。

※見逃した方へ、DVDあります。

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