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泡瀬 海草移植実験から6年経って

沖縄県沖縄市に位置する泡瀬干潟では、埋立工事に先立って、埋立区域内に存在する「貴重な」海草群落を埋立地の外に移植するという計画がありました。

泡瀬には広大な海草場がありました。一様にべったりと同じ密度で生えているわけではなくて、海草が濃く生えているところと生えていないところがアメーバ状にゆるゆるとつながって、干潮時に干上がる浅瀬から10mの深場まで大きな広がりをもっていました。

海草の濃いところはこんもりと盛り上がり、そこを歩くと上等の絨毯のようにふわふわしていました。複雑に絡まった海草の根の奥に手を入れると、真夏でもひんやりとした水に触れることができました。実は泡瀬の海草場では、海底からジワジワと水がしみ出していたのです。

海草の生えないところはゴルフ場のバンカーのように窪んでいました。夏や秋はその窪みの砂地があらわで、まさしくバンカーのようでしたが、冬から春にかけては海藻が繁茂する貴重な空間でもありました。

多くの海藻が海草の上に生えないように、他の生きもたちだって、海草が濃く生えているところ、海草の生え際、砂があらわになっているところ、などなど、いろいろと好みがあるわけです。

だから、泡瀬のアメーバー状の海草場というのは、「一面の濃い海草場」より全体として多様な環境を作りだし、生物多様性の高さを支えていたのです。

しかし、お役人というのは小さな生きものたちの視点から環境を見てはくれません。「芝生のように一様に濃いのが上等」と思ったわけです。

そうしてある日、もともとすばらしい環境だった海草場の「窪んで海草が生えていないところ」へ、埋立工事区域内から底質ごと掘り出してきた海草の塊をどかっと持ってきてしまいました。

移植された海草はたまりません。多くは数ヶ月と経たずに枯れてしまいました。一緒に移植されてきた貝などの底生生物たちもほとんど死滅しました。

それだけではありません。移植された塊からは砂がどんどん流出して、もともと生えていた海草の上に覆い被さっていきました。その結果、もとから生えていた海草たちも枯れ果ててしまったのです。

大規模な実験が行われたのは2001年の暮れから2002年の初めにかけてでした。今もその爪痕は残り、海草場は回復していません。春の大潮になると、その記録を撮るために、わたしは泡瀬に通うのです。

010525_2001年5月25日。

移植実験が行われる前の美しい海草場。水面から出ている部分に海草が、水中には海藻が生えている。

この一帯が海草の大規模な移植実験場にされてしまいました。

020401 2002年4月1日。移植されてから数ヶ月経過した海草の移植塊。

干上がることなどない水深10mほどの深場から、重機で約1m四方の塊にえぐり取られて、こんな浅瀬に移植されて来たのです。

環境の激変に耐えかねて、移植された海草はほとんど枯れてしまいました。塊からは砂が流れ出し、元々生えていた海草をも覆ってしまいました。

080407262008年4月7日。

上の写真とほぼ同じところから撮りました。(※とりあえずデジカメ画像をアップしておきます。後日一眼レフで撮ったフィルムが現像できたらそちらを掲載します。)

結局6年経っても、海草はまったく回復していません。そうして、埋立工事は粛々と進んでいます。

「環境に配慮して工事を進めてまいります」というのは大嘘です。役人が環境保全と開発のバランスを考えてくれているなんていうのも幻想です。

もし少しでも公共工事に疑問に感じたならば、どうか自分自身の目で現場を確かめ、頭で考えてください。その工事や開発は「あなたにとって」必要ですか?

※泡瀬の風景や生物の写真は、こちらからご覧になれます。

※同じ日の楽しかった話もあります。こちらからどうぞ。

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【キーワード】海草場 藻場 Sea glass bed 造成 生態系 破壊  

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コメント

3月10日付けのウマカッタ!~のブログに載せていただいたO君です。泡瀬干潟のことずっと心配しています。海草移植実験前からの3枚の写真は、すごくはっきりと変化がわかりますね。Kさんたちが「ここにはもっと海草がはえていた・・・」と言っていたのを思い出します。本当に悔しいですね。

投稿: O君 | 2008年4月 9日 (水) 22時25分

Oさん、ブログを見に来てくださって嬉しいです。あたたかなメッセージもありがとう!
泡瀬で起こっていることを少しでも多くの人に知ってもらうことで、他の地域での「藻場造成」とか「人工干潟」とかが見直されるとよいなぁと願っています。

投稿: こあら | 2008年4月10日 (木) 19時06分

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