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心ここにあらず(小説『プラハの春』のこと)

3日もブログを休んでしまったうえに意味深なタイトルですが、別にたいしたことではないのです。

小説にはまっていました。

きっかけはNHK-FMの、「青春アドベンチャー」という番組枠(22:45~23:00)で聞いたラジオドラマでした。

先月末からアレルギー性の咳喘息のようなものにかかって、眠ろうとすると咳き込むため、けっこう夜中まで起きていることが多くなっています。寝付けない夜、ふとつけたラジオから流れてきたのは上述の番組枠で放送されていたラジオドラマ『プラハの春』。途中から聞き始めたのにすっかりのめり込んでしまい、15回シリーズの最終回だった先週金曜日には、この番組を聴くためにわざわざ夜更かしする始末でした。

1968年当時の東欧諸国の国際的な政治情勢を縦軸に、在チェコ日本大使館の若手職員とチェコの民主化運動を支持する東ドイツの女性との恋を横軸につづられた物語でしたが、時代背景や人物の設定など、奥行きがあっておもしろく、原作の本を読んでみたくなったのでした。

それでラジオドラマ最終回の直後に、まずは上下巻ある原作本のうち上巻を注文。23日に本が届き、とりあえずパラパラっと中を確認…のつもりが止まりません。夜はちゃんと寝たのですが、24日は仕事が休みだったのを幸いに朝も読み続けて読了。ちょっとは体を動かさないとね~、と、午後にはお散歩に出たのですが、立ち寄った古本屋さんで早速下巻を見つけてしまい、またまた読みふけること数時間。25日は仕事をこなして帰宅したらまたまた読み続け、深夜読了。おもしろかった!

1968年、自由で民主的な社会主義国家を目指し、官民一体となって改革を進めていたチェコスロバキアに、最後にはソ連が軍事介入して路線を改めさせるという重たい話です。しかも、一冊500ページ近い厚みのある文庫本2冊を一気読み(読むのが遅くて3日かかったけど)。

思えばこの2年ほどは簡単に読み流せるような軽いエッセイや旅行記のようなものしか読んでいませんでした。体調が思わしくないと自然にそういう風になるものなのかも知れません。こんなに重たいテーマの本を3日がかりで一気読みなんて、われながらずいぶん体力が戻ったものだと感心しています。

『プラハの春』は、読んでみるとラジオドラマよりもいっそう細やかに生き生きと風景や人物が描かれていました。国際情勢や政治の駆け引きのことも詳しく描かれていました。作者は外交官だったそうですが、その観察力や情報収集力、さらに芸術方面への趣味も存分に生かして書かれていると思いました。物語としてもとてもおもしろかったです。

それにしてもなんというか、改めてヨーロッパの地理歴史関係にまったく疎いということを再認識。当時の東欧諸国の抱えていた問題を含め、いろいろ勉強になりました。

一番印象に残ったのは、プラハに軍事介入してきた戦車に乗ったソ連兵に、プラハ市民が根気よく話しかけたと言うことでした。

チェコ語とロシア語は似ているそうで、若者たちは学校でロシア語も習っていたという背景があったにせよ、実弾を装備した戦車の兵士に向かって「あんたたちは間違ったことを教えられているのだ」、「あんたたちの軍事介入は間違っている」、などと冷静に言えるものだろうか。

そうして、市民たちの言葉の力でいきり立つソ連兵たちは落ち着きを取り戻し、次第にその志気はそがれていったというのだからすごいではないですか。言葉で対抗するのは、大国に囲まれ翻弄されてきた民族の智恵だという。

チェコの民主化を推し進める「プラハの春」運動は、最終的にはソ連の強大な圧力に屈したわけですが、しかし初めから無気力にあきらめてしまうのではなく、あくまでも平和的に言葉で解決する努力を最後まで惜しまないことの大切さをつくづく感じたのでした。

同時に、大国の傲慢もひしひしと感じました。ソ連だけではなく、アメリカや、その腰巾着のどこかの国も似たようことをしてきているわけで。

そんなわけでここしばらくは、物語の中を漂い、読み終わってもいろいろと考えをめぐらせ、そうして「心ここにあらず」の状態だったわけです。明日からはまた地に足つけて半径2kmレポート再開予定。

プラハの春〈上〉 (集英社文庫) プラハの春〈下〉 (集英社文庫)

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コメント

僕も少しだけ聞いて原作読みたかったんだ。
今度、貸して~

投稿: いたち | 2008年4月28日 (月) 01時19分

お、こんな身近なとこで同じ番組聴いてた人いたんだ。ちょっとびっくり。おもしろかったよねぇ。 本の件了解。 み

投稿: こあら | 2008年4月28日 (月) 15時32分

ラジオドラマや朗読番組は大好きです。最近聞かなくなったけど、前は青春アドベンチャーもFMシアターも欠かさず聞いてました。気に入ると原作さがしてました。

投稿: いたち | 2008年4月29日 (火) 00時58分

そっかぁー、そう言えばわたしもFMシアターは時々聴いてるな。青春アドベンチャーでは、不思議屋シリーズが好き。

朗読番組と言えば、NHKラジオ第一放送の午前11時台にあった「わたしの本棚」は好きでした。残念ながら今年3月に終わっちゃったけどね。偶然、番組最後の朗読を聴きました。さだまさしの書いた、退職する車掌さんの話でした。

投稿: こあら | 2008年4月29日 (火) 20時34分

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