ウマカッタ!~沖縄・泡瀬干潟4~焚き火を囲んだ宴
(「ウマカッタ!~沖縄・泡瀬干潟3~」の続き)
途中から降り始めた雨足が強まる。冷えると途端に疲れ出てしまうわたしは、貝採りに専念するみんなをあとに、一足お先に岸にもどって雨宿りすることに。
アダンの茂みがちょうど一人分のシェルターになった。ポンチョ型の合羽を体から少し浮かせると雨の冷たさも和らいで、少し元気が出る。
しばらくするとじわりじわりと潮があげてくるのに追い立てられながら、みんなも岸に向かいはじめた。でもまだまだ遊び足りない子どものように、本当にゆっくりと寄り道しながらで、なかなか岸に到達しない。気持ちは分かるよー、わたしも元気ならまっすぐは帰ってこないから。ゆっくり楽しんで戻ってきてね。
ようやく全員岸に戻った頃には5時近くなっていた。イタチ君が折れた木の枝を手早く集めて火をおこしてくれた。みんなで暖をとる。I さんが四隅に紐のついたブルーシートを出してくる。手早く近くの木に結びつけると、あっという間に雨よけの屋根ができあがった。
Uさんが四次元ポケットのようなリュックからコンロや鍋をとりだす。続いて出てきた竹籠の蓋を開けると、おにぎり! 白いおにぎり、玄米おにぎり、どちらも海苔で包んである。おいしい~! むくむくとエネルギーが湧いてくるようです。
Nくんもどこからともなく泡盛を出してきた。でも、飲むわけではない。「はい、採った貝をここに供出してください!」と、イタチ君が妙にきっぱりした口調で言う。貝を酒蒸しにするつもりらしい。
I さんはどこから出してきたのか肉を切り分けている。前日、偶然手に入れたという本物のアグー(琉球で古くから飼育されてきた幻の豚)だそうだ。たき火の上に金網をセットし、アグーを炙る。横からヌッと差し出されたのは藻塩。例のリュックからUさんが出してきたのだ。
N君はいつの間にか貝蒸し係になっている。イタチ君がアグーの焼け具合を確かめながらひっくりかえす。K江君とOさんが焚き火にくべる小枝や流木を集めてくる。
少しずつ貝が蒸し上がり、アグーの香ばしい匂いがしてくる。みんなが再び火の周りに集まり落ち着いてくると、 I さんはまたまたフィルムを回しはじめた。大漁だった貝。酒蒸しの鍋から立ち上る湯気。たき火の上で焼けてくるアグー。焚き火にあたって少し上気したみんなの顔…。
今回拾えた貝のうち、リュウキュウサルボオは赤貝の仲間。他の貝の血は赤くないのに、赤貝の仲間だけはナゼか血が赤いのです。
「リュウキュウサルボオは刺身で食べるのが一番ウマイよねッ!けど、赤い血を滴らせながら食べていると、自分が野生化していくような気がするよ」などと言いながら頬をゆるませて貝をほおばっていると、いつの間にか I さんのカメラに大接近されていた。
蒸した貝はプルプルしていて汁けがたっぷり。ナンにもつけなくても海の塩気が貝の甘みを引きたてます。シンプル・イズ・ベスト!! アグーはイノシシに似て、脂は少ないのにジューシー且つ濃厚な味。焚き火のおかげで軽く燻されたような風味もついて、極上のおいしさ。
贅沢な時間。おいしい海。愉快な仲間。
ねぇ、次はいつやる? 場所は泡瀬に決まり!!
…沖縄の干潟の多くはすでに埋め立てにより消失したり、赤土汚染で環境が著しく悪化している。そんな海ではこれほど貝は拾えない。埋立地に造られる管理の行き届いた人工ビーチでは焚き火も起こせない。
どこにでもある埋立地や人工ビーチをつくるより、ここにしかない環境を残した方が、絶対楽しいと思うんだけどなぁ。 (おわり)
※泡瀬の風景や生物の写真は、こちらからどうぞ。
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